キモブロ

Please spy check please, Fucking retard

メイキング・オブ・ピクサー

書籍「メイキング・オブ・ピクサー」を読んだ感想。
メイキング・オブ・ピクサー―創造力をつくった人々

この本は、アニメーターであるジョン・ラセター氏がディズニーから解雇され、Pixarに加わりヒット作を次々と生み出し、最後にPixarごとディズニーに買収され、ディズニーのアニメーターになるという夢をかなえるという彼が主軸のストーリーであるように感じた。

もちろん社長のキャットムルの話のほうがおおいのだけど、俺は物語の主軸はそこには感じなかった。ピクサー・アニメーション・スタジオにおける作品を作る上での苦悩とか、作りこみの話を楽しめた。

ピクサーの映画を見ると"話が面白い"と誰もが感じると思う。(起承転結がはっきりしている。)この本を読むことによってその理由がわかった。この脚本は多くの脚本家が関わっていて、そして何度も何度も手直しされている。この本ではだいぶディズニーの暗黒面が描かれているけど、しかし実は初期のピクサーを支えていたのはディズニーであって、ディズニーが脚本についてのアドバイスをしたからこそ今のピクサーがあるのだなと俺は感じる。

コンピューターギーク(あるいはナード)な人間としては、スティーブジョブスが登場していることも興味を惹かれる。どちらかといえば横暴で迷惑な投資家として描かれている彼だが、しかしながら、3,4年近くも膨大な赤字を垂れ流すPixarを支え続けたその根気と未来を見据える目。

いや未来を見据えていただけでなく、その交渉力とプレゼンテーション能力で未来を自分で創りだしてしまった..といったほうが適切かもしれない。

たぶん、「本当に価値あるものは誰かに救済される」のではないだろうか。3Dアニメーションなんかアニメーションとして価値がないと評価されていた時代に、3Dアニメーション制作ハードウェア会社としてライティングソフトの改良を続けた根気強さ。年に一度のSIGGRAPHで短編アニメーションを公開し続け、評価され続けたそのセンス。赤字だろうがなんだろうが、価値あるテクノロジーに人は惹かれてしまう、熱狂してしまうのだと思う。今のPixarの成功は決してラッキーでも奇跡でもなく、人類の未来に必要だったから選ばれた存在なのではないかな。

ページ数がかなり多く読み応えがあり、だいぶ長い本だったので結構読むのに時間かかるかもしれませんが面白かったです。ものづくりのモチベーションが上がる素晴らしい本だったと思う。お勧めです。


さて関連して、ピクサーショートフィルム集というのも見た。これはピクサーの短編アニメをまとめたDVD。ピクサーの映画というのは映画本編が始まる前後に短編アニメを流すのが恒例になっていて、その短編アニメだけを集めたもの。

本編を見ないとコンテキストが解らなくてあんまり楽しめない作品が多いので注意。そして本編のネタバレっぽいのもあるので、本編を先に見ることをおすすめします。かんたんにいえば本編のサブキャラのスピンオフ作品みたいな感じ。とても楽しめた。#1のほうはかなり古い作品が多くてCGがしょぼいので結構いまみるとつらいかもしれない。

ピクサー・ショート・フィルム&ピクサー・ストーリー 完全保存版 [DVD]
ピクサー・ショート・フィルム Vol.2 [DVD]

自分で画像貼り付けるのがだるすぎて今回はアフィリエイト記事となっております。